ギターリペア1
『20歳の誕生日の時に父に買ってもらった物なんだけど。。。』
『昔 ギターを 弾くのを趣味にしていた父に私も弾いてみたい、と言ったことがある。』
誕生日、彼女の手元に届いたのはヤマハのクラシックギター。
でもあなたの娘は左利きなんですけど。。。と、慣れない逆手での挑戦を断念し、四半世紀ケースに入ったままのやつ。
『父親』が嫌いな訳ではない。
『弦を逆さに張り直して左利き用に出来ないかなぁ?』
『父親』とどう接していいか分からなかっただけ。
そう、彼女の場合は『父親下手。』
今も。。。
そして多分、『父は娘下手。』
それはこのリペアの物語?が終わる頃に明らかになる。
僕にも中3の娘が居ます。
僕にはもったいない位の娘ですが、どう接していいか分からなく、たまに会ってもついつい素っ気ない態度を取ってしまう。その娘が学校でギターを披露する機会があるらしく、余っているギターは無いかと連絡が来て年末年始にチューニングの仕方などをレクチャーして僕のサブギターを手渡したばかり。
想いがシンクロしますね。
そして彼女から預かったギターがこちら。
YAMAHA CG -170SA
トップはエゾ松単板。サイド、バックはパリサンドルかローズウッドです。
当時のYAMAHAの入門モデルとしては最上クラスのギターです。
これをリペア、オーバーホールして、レフティ(左利き用)にしていきます。
曇ったペグと異様に弦高の高いサドルとナットを外します。
普段、極めて弦高の低いフラメンコギターを触っていると、異様に高い弦高が気になります。上がナット、下がサドルです。この2つで弦を張ります。
先ずは弦高を下げてボンヤリした音色に喝を入れます。
因みにこちらがリペア前の音色。
音色をパリッとさせるには、硬めの弦を張る、弦高を下げる。 などです。
ただし、プレイヤーが入門なので、硬い弦は避けます。あとは、サドルを削って弦高を下げる事により、音の籠りを軽減します。
普通、サドルは1弦側より6弦側の方が高くなっています。 これをレフティにする場合は逆になるので、通常の6弦側の方を多めに削っていかなければなりません。
ナットには弦が滑って間隔がズレないように溝が刻まれていますが、通常だと1弦側が細く、6弦側が太い溝になっています。
弦高を下げるという意味も含ませながら、溝を深くします。
天然オイルの防湿液やポリッシュを使いペグ、ネック、指板、ボディとクリーニングしていきます。
先ずはペグの分解。
25年放ったらかし。という事だったのでオイルアップも兼ねて完全分解です。
下がクリーニング済み。上がくすんでいるのが良く分かります。
はい、ピカピカになりました。
次はボディー!
後半に続く。。。